この事件をみて、私は中学時代の部活を思い出した。
中学1年になり初めて上下関係を明確に意識する集団の中に入った。部活動はその最たるものだ。先輩へは絶対服従とまではいかなくても、それに近いものがあった。練習と称しての
「しごき」。それから気に食わない後輩がいると練習終了後、体育館器具庫へ呼び出され制裁という名のリンチにあう。幸い私は大ダメージを負うような被害者になることはなかったが、今思えば被害者を見て加害者である先輩には進言できず、また顧問である先生にも報告できなかった。チクったあとの制裁が恐かったからだ。これはまさに
「いじめ」そのものであった。同級の部員たちとの間で「俺たちが上級生になったら、こんなことはやめよう」と誓い合ったことを思い出した。
振り返って、この相撲界で発生した暴行死事件も、同じではないかと思った。ただ程度が違うだけ。さらにたちが悪いのは、相撲部屋の長である親方自らが首謀者となっていることだ。これでは、良心の持ち主が改善しようにも、どこにも話を持って行く場がない。悪を持った代表者が君臨した閉ざされた世界では致命的だ。兄弟子たちはある意味被害者なのかもしれない。おそらく、だれしも部屋に入門した当時からこのような悪戯が、日常茶飯事化しているとは思っておらず、衝撃的な事実に移ったはずだ。しかし、閉ざされた空間で時を過ごしていくうちに慣れてしまい、気がつけば自分が加害者となっていた。そんなところではないか。
相撲協会は対策に取り組む姿勢を見せているが、なぜか真剣味が感じられない。まず、理事長である元北の湖親方が責任を明確にするため辞任すべきだと思う。本人は「自分に責任はなく、部屋の問題。」といっているが、事実上相撲界の長であるので、通念上そんなことは認められないと思う。次に変革を起こすのであれば、閉ざされた空間で育った人間だけでは無理だ。ぜひ第三者を理事会へ迎え、協会と各部屋がすべての情報をオープンにして改善していく必要があると思う。
それにしても、相撲界というところは対応が鈍い。各部屋もトップダウンで指示を待つのではなく、現場から対策の提言などボトムアップでがんがんやれば良いのに。今だに伝統というものに胡座をかいているのではないだろうか。
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